2021/10/12
「座りなさい」
「は、はい」
正座をします。
幽々子様の部屋に呼ばれました。
お昼ごはんの後に「ちょっと」と言われる恐怖です。
「妖夢」
「妖夢でございます」
「お茶飲む?」
「い、いえ。私は」
「カステラもあるのだけど」
「……」
「妖夢に用意したの。食べなさい」
「はい」
頂きました。
本日のおやつ
・カステラ
「ぱくぱくぱく」
「美味しいかしら」
「……」
「いいカステラだもの。里には売ってないの。紫が持ってきてくれたの」
「ゆ、幽々子様!」
思わず声を荒げてしまいました。
「どんな御用でしょうか! 私は何をしてしまったのでしょうか! この空気耐えられません!」
「……」
「幽々子様」
「……もめーん」
お豆腐でしょうか。
「妖夢の大事にしてたこの本」
「あ」
「ちょっとこの所折っちゃったの」
「あーなんだそんなことですか」
「でも大事でしょう、ご本」
「大事ですけどそんな、幽々子様にそんなお気遣いさせるものではありません」
「そう?」
「カステラもう一個ください」
「はいはい」
良かったです。
安心のほうが大きいです。
その後カステラは三つ頂きました。
幽々子様も大げさです。
ですが、図書館の本じゃなくてよかったです。
その場合はちょっと、想像したくないですね。