2022/03/08
冷たい水で顔を洗い目を覚まして良い匂いの方へ歩いていくと、歌が聞こえてきました。
「ぐらぐらたんたんぐらたんたん」
朝ごはんのネタバレ曲でした。
「おはよ」
「あ、カセさん。今ちょうどY子さんの歌聞いてるところなんです」
「私も聞いてた。寒いからいいね」
「もうよだれが出てきますよね」
「ごめんそこまででは」
なんか一歩引かれました。
でも朝からグラタンは楽しみです。
本日のメニュー
・クリームシチュー
・白いパン
・ブロッコリーにんじんサラダ
「……カセさん」
「ごめんそんな目で見られても私にそんな力は無い」
裏切りです。
これは裏切り行為です。
「Y子さん聞いていいですか」
「しょうがないわね。上からきゅうじゅう」
「知りたいのはそれじゃないです。ちょっとフミタさんっぽいですよ」
「あ?」
「き、キレすぎです」
フミタさん……
「しかも嘘だしね」
「お?」
「Y子さん目めちゃくちゃ怖いです。カセさん早く謝ってください」
「ごめんなさい」
「いいよ」
カセさんは素直に謝れるいい子です。
「いやあの、朝ごはんグラタンかなって思ってて」
「ああ、それ今夜ね」
「え」
「このシチュー使ってグラタンするから。あれ、なんで知ってんの?」
「あ、いえ。なんでも無いです最高です」
そういうことでした。
最高です。
すっかりグラタンの気でしたが、それは今夜までお預けということです。
さすがY子さん、焦らすのもうまいです。
私の一日の原動力となりました。
いっちょグラタンの為に修行してきます。
いってきます。