2022/07/11
修行を一通りこなすと、汗でびっちょびちょになります。
この時期は仕方がないです。
「うわ、びっちょびちょ」
「そんなの言われなくても私が一番わかっています」
鈴仙が阿呆みたいな顔を引っ提げて修行場にやってきました。
いつ見ても見事です。
「ねえー甘味屋行きたかったのに」
「それは知りませんよ。水浴びしてきます。その後に行きましょう」
「んじゃその間お邪魔させて」
「外で待っててくださいよ。そこの日なたなんてどうです?」
「しぬよ?」
仕方がないので家に入れてやることにしました。
特別な配慮です。
「Y子さん。鈴仙を部屋にあげますが何ももってかなくていいです」
「聞こえる場所でそんなこと言う?」
「あらー兎鍋ちゃん」
「お邪魔します。そして誰ですかそれは」
すっかり兎鍋ちゃんで通ってる鈴仙です。
私が水浴びして部屋に戻ると何か食べていました。
本日のおやつ
・ふわふわチーズクリームケーキ
「なんですかこれ私も知らないもの出てます」
「これふわふわで美味しいわよ。もう里行かなくていいわね」
生意気にも舌鼓をうっていました。
ずるいです。普段こんなお菓子なかなか出ないのに。
ふわふわのスポンジの中にチーズのクリームが入ったそれは、滅多に味わえない味がしました。
「Y子さん、なんですあれ私食べたことありません」
「食べた?」
「食べましたよ。私もあいにく鈴仙も」
「あいにくの意味あってる?」
「んじゃ食べられるか。私も食べよ」
「え」
「え」
「冗談~」
「……」
冗談かわかりませんでした。
滅多に見ないのは普段奥深くに隠れているからでしょうか。
美味しかったので問題ないとは思いますが……
それにしても鈴仙とは言えお客さんの前でそういうこと言うのはさすがにY子さんです。
幽々子様とY子さんくらいしか許されません。
我が家のおだいどこ番は恐ろしいです。