2023/02/20
本日のおやつ
・たいやき
「ふと思ったんですけど」
もぬもぬとたいやきを味わいながらそう言いました。
振り返ってくれたのはカセさんだけです。
幽々子様は両手で大事そうにたいやきをもくもくしています。
「私、これ見たことないです」
「……たい?」
「そうです。たい見たことないです」
「妖夢あなたたいを見たこと無いの」
「幽々子様はあるんですか?」
「うん、一回か零回くらい」
「イチとゼロで迷うこととかあるんです?」
「でも確かに」
カセさんは口の回りのあんこを舐めて、改めてたいやきを眺めます。
「私も無いかも」
「カセさんもですか」
「正直魚の区別がそこまでつかない」
「わかります。美味しいのは鮭です」
「うむ」
「あとは……天ぷらです」
「私もそこまで変わらない」
「貴方達ねえ」
私とカセさんの体たらくに幽々子様がため息をつきます。
両手のたいやきは気づいたら無くなっていました。
「さんまは焼きに限るわ」
「あー」
「……」
その日はお魚思い出し大会が始まりました。
私達を眺めていたY子さんは、ずっと黙って優しい視線を向けてくれました。
そんな昼下がり。
まだまだ寒い一日でした。
早く暖かくなって欲しいです。