2023/12/07
「この雑誌ももう飽きました。そろそろ返しにいかないと」
「こんこん」
「どうぞー」
わざわざノックしてくるのはカセさんです。
フミタさんはノックしないですし、Y子さんは「妖夢ちゃーん」です。
幽々子様は、ふすまを少しだけあけて横から顔を覗かせます。
「どもっす」
「あれノゾっちさん」
「いまちょっといいすか」
「いいですよ。お一人です?」
「っす」
「めずらしいですね」
いつもはツシマさんと一緒なのに。
ともあれ、カセさんは後輩をしっかり教育しています。
ノックしてくれます。
本日の秘密のおやつ
・栗まんじゅう
「お茶淹れてきました。これは秘蔵のおやつです」
「あざっす」
「雑誌でも読みます?」
「あ、いやちょっと話でも、なんかしたくて」
「なるほど。仕事のお悩み相談ですか」
「あーはい、そんな感じで」
私に相談しに来るなんて見る目があります。
流石はカセさんが育てた子です。
「妖夢さん、適度にサボってるじゃないっすか」
「うん?」
「いやあのフミタさんに聞いたんですけど」
「……続けて下さい」
「妖夢さんは幽々子様の側近なのに精神が壊れないのは休み方が上手いからだって」
「……」
「すみません、自分もそんなことって思ったんですけど」
「若干合ってるのがいやらしいですね」
ただフミタさんの言い方はダメです。
こんなの私がだらしない人間みたいじゃないですか。
「こほん。確かに私は適度に休んでします」
「おお」
「でもサボっているわけじゃありません。オンオフです」
「オンオフ?」
「Y子さんを見ていたらわかるはずです。幽々子様が居るときと居ない時」
「……なるほど」
「そういうことです」
ノゾっちさんは満足そうに帰っていきました。
うまいこと先輩をやれてた気がします。
まあ、フミタさんはあとで斬ります。