2024/10/16
「こんこん幽々子様」
「だれがこんこん幽々子様よ」
両手がふさがっていたので仕方がありません。
良さそうなので部屋に入りました。
「おやつを買ってきました」
「ふむ」
「両手分です」
「単位が手なのね」
「最近なんか幽々子様をないがしろにしていた気がするのでお詫びです」
「あなたは幽々子様をないがしろにしていたの」
「悪意はないんですが、ちょっとタイミングというか間違っちゃうと言うか」
「最近の妖夢が妖夢妖夢していたってことね」
「なんですか妖夢妖夢しているって」
「わからない?」
「ちょっとわかっちゃうから不服なんです」
ともかくおやつです。
Y子さんにはしっかり言っておきました。
今日は幽々子様のお部屋でふたりのおやつです。
本日のおやつ
・三色団子
・みたらし団子
・草餅
・キャロットケーキ
・秘蔵の栗まんじゅう
「こんなに買ってきてもう。お小遣いはどうなの」
「もうほぼありません」
「せっかくなので遠慮なく全部いただきましょう」
「せっかくなので遠慮なく全部いただいちゃってください。秘蔵の栗まんじゅうがあります。ほっぺた落ちますよ」
「栗まんじゅうが何をいっているの」
「栗まんじゅうではないのにで何も言っていません」
幽々子様は本当に遠慮なくぱくぱくとしはじめます。
お許しが出たので私もいただきます。
「最近妖夢はふわふわしてるわねえ」
「自覚しております」
「地に足をつけるのは難しいのは承知だけど。われわれ幽霊ですし」
「幽霊ギャグさすがです」
「少し自分のために考える時間を設けてみなさいわ」
「瞑想とは別でしょうか」
「瞑想は考えない修行でしょ?」
「……はい」
「……本当にねえ」
瞑想は美味しいものとか考えています。
でもそれは考えてないのと同義です。
おそらく。
「誰のための従者か考えなさい」
「……」
「口をとんがらせるんじゃありません。不服なら言葉にしなさい」
「……じゃあ、一個だけいいですか」
「はい」
「私になにも言わず出かけないでください。不要になったんじゃないかと不安になっちゃいます」*1
「……そんなこと思ってたの」
「……ちょっとだけ」
「それは」
幽々子様は少しだけ固まったあと口を開きました。
「私の落ち度です。ごめんなさい」
「頭を下げてもらうほどのことでは!」
「いいの、でもあなたはそういうのをもっと言いなさい。妖夢は失言はよくするくせに我慢する癖があるわ。得意技でしょう、口を滑らせるの」
「得意ではないですがよくやります」
「それを得意というの。それと……ほかの従者にも言っておきなさい」
「何をですか?」
「……いいわ、私が言う。今日は幽々子様相談サービスデーよ」
「幽々子様相談サービスデー?!」
「いいからY子さん呼んできなさい。今日はピザね」
ということで、一人ずつ幽々子様によばれて不満がないかを確認する幽々子様相談サービスデーが執り行われました。
改めて幽々子様と二人で話す機会なんてそうそうありませんから、大事なことなんでしょう。
でも、今日は言いたかったことが言えてよかったです。
幽々子様相談サービスデー、良いものです。
*1 2024/10/03