2024/10/05
甘味処に行きました。
店内を見回すと隠せていない耳を隠している鈴仙がいましたので、ずごーと座りました。
「どうもー」
「……おっす」
「あれなんか元気ないですね」
「ちょっとね」
なんか、いつも以上に耳がしおれてそうな鈴仙が居ました。
本日のおやつ
・あんころ餅
「いいですねこのあんこがこしあんなのが良いんですよまあつぶあんでも美味しいですが」
「……」
「聞いてほしいのかそっとしてほしいのかどっちですか」
「まあ、聞いて」
「はい」
たまに素直になると怖いです。
鈴仙はぽつりと話し始めました。
「それってあそこの八百屋の通りの角っこの家の人ですよね」
「うん、よくお祭りとかでも張り切ってたからわかるでしょ」
「はい、こないだの夏休みでもお話ししました。私がまるまる人間じゃないと知っても気さくに話しかけてくれる人です」
「多分、もう長くなくて」
「それは先生の、永琳さんの判断です?」
「うん」
「なら、本当でしょうね」
「……なんか簡単に言うのね」
「家に帰れば幽霊だらけの人間ですよ私は。まあ人間なのは半分だけですが」
「そっか」
ここ最近、薬の量が減っていたので診断をおすすめしたらわかった、とのことです。
鈴仙ともよくお話していたようで、見る限り残念だと思っているのでしょう。
「まあそんだけ。こんなの日々あることだから慣れっこだけど」
「……」
「最近よく話してたから、ちょっとね」
「あんむ」
「ちょっとケーキ!」
「まんもももみまめめむままい」
「……食べるけど」
あんころ餅食べてくださいと言いました。
ぷんぷんしながら大きな一口をもっていかれました。
「なんかあんたに元気づけられるのムカつく」
「じゃあ早く戻ってください。今泉さんが近づけないの気づいてましたか?」
「え?」
「ほらあそこ」
「ほんとだ」
今泉さんがこそこそ聞き耳をたてていました。
鈴仙の様子を察知して近づかなかったのでしょう。
「もう大丈夫? ねえ私シリアスなのは苦手よ」
「わかります、あれ朝ごはんにしてもおやつにしても中途半端ですよね」
「何の話してるのあんた」
ともかく、人間なんてしぬものです。
抗えません。
落ち込んでる暇があったらその人と今のうちにいっぱい遊んでおくべきです。
それくらいしか出来ないんですから。