2023/12/25
「ただいまー」
かすかにその声を聞きました。
幽々子様だと気づいても立てませんでした。
今は体が睡眠をしろと言っているのです。
でも立ちます。
従者だからです。
「お……さ……」
「妖夢、この惨状はなんなの」
「……」
「寝るの?」
寝ました。
廊下で寝ました。
「はい、豚汁!」
起きたのはそれからしばらくしてから。
珍しい幽々子様の大声で起きました。
本日のメニュー
・幽々子様の優しい豚汁
「生き返りました」
「あなたは単純ねえ」
「はい、幽々子様の豚汁ですもん。ほらY子さん、豚汁です」
「これ妖夢、死にかけのY子さんに豚汁を近づけるんじゃありません」
生きて豚汁を飲んでいるのは私とイマナさんだけです。
イマナさんは大体生き残ります。*1
「幽々子様も妖夢ちゃんのあれ見るといいですよ」
「なにあれって」
「妖夢ちゃん。庭の松」*2
「体操ギャグ『庭の松』やります」
庭の松やりました。
幽々子様が震えて倒れました。
「イマナさん、私初めて自分の力を怖いと思いました」
「昨日二百回くらい見たからもう慣れたけど相変わらず面白いねそれ」
「幽々子様、私は強大な力を手に入れてしまったようです」
「…………うん」
幽々子様のちいさな「うん」を聞きました。
それほど笑ってくれました。
体操ギャグ、いっぱい練習してよかったです。
「そろそろ片そうか。妖夢ちゃん、頑張れる?」
「頑張ります!」
「んじゃフミタ起こして」
「はい! カセさんはどうしますか?」
「ほぼ死んでる人たちはそのままで」
「わかりました!」
イマナさん主体のお掃除という珍しい形で従者忘年会は終わりを告げました。
幽々子様も、そんなに怒っていないようで良かったです。
きっと私のギャグが聞いたのでしょう。
体操ギャグ、そろそろ外の飲み会でやりましょう。
きっと良い成果になるはずです。
*1 2023/03/27
*2 2023/12/11